湿疹

湿疹は、皮膚に炎症が起き、かゆみの症状と赤み、小水疱、ブツブツ(丘疹)がみられるなど多様な皮膚症状のことで、皮膚疾患としては最もありふれたものです。小さな水ぶくれや丘疹が起きた後は、かさぶた(痂疲)を形成するなどして治癒していきます。なお湿疹は慢性化してしまうと、皮膚が硬くなってこわばっていく(苔癬化)、色素沈着するなどしていきます。発症に関しては外的要因と内的要因があります。ちなみに外的要因とは、薬剤、ハウスダスト、金属、植物、食物などによる接触によるもの(接触皮膚炎)、内的要因としては、アトピー体質やアレルギーを起こしやすい体質やストレスなどが挙げられます。

アトピー性皮膚炎

強いかゆみがみられる湿疹が体中に起き、その症状は良くなったり悪くなったりを繰り返します。早ければ生後2ヵ月頃から発症します。学童期、成人から起こる場合もあります。皮膚の乾燥、バリアー異常が背景にあり、体質(遺伝)が背景になっています。鼻炎・結膜炎や気管支喘息などの全身的なアレルギー体質の方に起こりやすい傾向があります。乳児期は顔面や頭部を中心に、幼児期になると頸部や肘・膝の内側でよく発症するようになります。成長するにしたがって治まる例も多いです。最近は素晴らしい治療法が開発され、重症アトピー性皮膚炎の患者さんには福音です。

痒疹

かゆみが強く伴う丘疹(赤いブツブツ)がみられます。そのブツブツの盛り上がりは、直径1㎝から大きいものは爪の大きさまでになります。原因は不明とされていますが、虫刺されによる掻き壊し、肝臓病や胃腸障害などの内臓疾患、糖尿病、血液の病気がきっかけになることもあります。またアトピー性皮膚炎に伴って発症することもあります。最近は新規治療法が開発されています。

皮脂欠乏性湿疹

高齢者や冬の季節に起きやすいとされ、乾皮症を悪化させた状態が皮脂欠乏性湿疹です。乾皮症とは、主に加齢によって引き起こされる皮脂の分泌や発汗の低下をきっかけに皮膚が乾燥している状態を言います。これによって、かゆみの症状が出現して湿疹となり慢性化することもあります。

脂漏性湿疹

皮脂が分泌しやすい部位(顔面や頭、腋など)に発症する湿疹です。乳児と思春期~40代にかけての世代(主に男性)に起きやすいと言われています。乳児の場合や思春期以降に発症する場合があります。頭皮や顔面、あるいは腋に紅斑、フケのような鱗屑がポロポロ落ちるなどの症状がみられます。かゆみの症状は、あっても軽度です。原因は多彩で、皮膚の真菌(かび)や食餌性、ホルモンやストレスなどが考えられています。

皮膚掻痒症

目に見える皮膚病変はないのに、かゆみ症状があるものを皮膚掻痒症とよびます。加齢や腎臓病、肝炎などがあって起きることがあります。われわれはその直接原因を発見し、画期的な治療法を開発しました。

乾癬

境界のあきらかな紅斑でおよそ小豆大から胡桃大の大きさで、その上が角化して盛り上がり銀白色の鱗屑(ふけのような角化)を形成します。紅斑はひっついて手のひらサイズまで大きくなることもあります。成人以降に発症することが多いです。湿疹とは異なってじゅくじゅくすることは少なく、乾燥した症状が主です。腕やすね、お尻、腰、頭などに出来やすく爪が変形することもあります。5,6人にひとりはリウマチに似た指先の関節症状、あるいは腰や背の椎骨関節炎を伴います(乾癬性関節炎)。メタボとの関連もあります。免疫と表皮の異常によりおこり、特定の遺伝子が関係することもあります。佐野は乾癬の研究で世界のリーダーとして活躍してきました。最近では先進的な治療が数多く登場し、コントロールが出来るようになりました。

掌蹠膿疱症

左右の手のひらと足の裏に膿疱(膿を含んだ水疱)を繰り返す皮膚疾患です。左右対称性におこり初期には小さな水疱、間もなく膿疱になり慢性化します。女性の喫煙者が多い疾患です。人にうつすということはありません。原因としては、扁桃炎や虫歯などが引き金となる(病巣感染)ことが多く、耳鼻科や歯科との連携で治療します。ときに鎖骨や胸骨の関節や骨の炎症が起こります。新しい治療法が開発されています。

虫さされ(虫刺症)

主に虫に刺されたことが原因で発症した皮膚炎のことを虫さされ、または虫刺症と言います。原因となる虫については、蚊、アブ、ノミ、ブユ、クモ、ムカデなどが挙げられます。

症状は痛みとかゆみがあります。痛みは、虫が皮膚を咬むあるいは刺すことによる場合もあれば、注入された有害物質が原因ということもあります。虫さされ以外に蛾の鱗粉などでおこる皮膚炎もあります。ハチに刺された場合のアナフィラキシーショックは命にかかわることもあります。

乾燥肌(ドライスキン)

肌が乾燥している状態を乾燥肌、またはドライスキンと言います。この場合、皮膚の角質層の水分量が低下して起きます。原因としては、加齢による体内の水分量や皮脂分泌量の低下をはじめ、気候(冬の季節)や乾燥した室内(エアコン)、摩擦等による皮膚への刺激があります。うまれつきの乾燥肌はアトピー性皮膚炎の前段階にもなります。

水虫(白癬)

カビ(真菌)の一種である白癬菌が足に感染しておこります。白癬菌は足に限らず、手、体部、股の部分などで感染することもあります(たむし)。検鏡で白癬菌を検出することによって診断できます。かゆくて掻破することで一般のばい菌が入る細菌性の二次感染を起こす場合もあります。爪に白癬菌が感染する(爪白癬)は治療に時間がかかります。糖尿病がある人には好発します。

しもやけ

正式な疾患名は凍瘡です。これは寒冷な環境下によって引き起こされた、皮膚や皮下組織で起きた障害のことを言います。血行が悪くなってしまうことで、かゆみや痛みを伴う浮腫性紅斑がみられます。さらに症状を悪化させると水ぶくれ、潰瘍といった状態にもなる場合があります。発症しやすい部位は、手や足の指、耳たぶ、鼻の頭、頬などです。背景に膠原病や皮膚血行障害の場合もあります。

やけど

やけど(熱傷)は、高温のもの(火、熱湯、電流 等)に皮膚や粘膜が触れ、それによって起きた皮膚損傷のことを言います。やけどは応急処置が非常に大事とされ、まず損傷部位を速やかに水道水で冷やすことが大切です。20~30分は冷やすようにします。服の上からやけどを負った場合は、服は脱がずに着衣のまま冷やすことが重要です。熱傷は、皮膚損傷の状態(障害の深さ)によって、1度熱傷、2度熱傷、3度熱傷に分けられます。3度熱傷の場合は植皮が必要になることが多いです。電気あんかなどによる低温やけどは冬に多く、ときに皮膚深くまで障害が及びます。

日焼け

皮膚が過剰に日光(紫外線)にさらされ続けることで起きる皮膚障害のことで、日光皮膚炎とも呼ばれます。主な症状は、皮膚表面の発赤(紅斑)や水疱です。日焼けをした数時間後にそれらがみられるようになります。炎症後は、皮が剥ける、色素沈着がみられますが数日後には治癒します。特殊な遺伝病や内服薬(降圧剤など)によって日光皮膚炎・障害が起こる場合もあります。

皮膚潰瘍

皮膚欠損の状態が表皮でとどまっている状態をびらんと言います。このびらんよりも深い部分(真皮、皮下組織)まで皮膚欠損が起きている場合を潰瘍と言います。原因としては、物理的な損傷による欠損ということもありますが、寝たきりの方の一部分の皮膚圧迫(とこずれ=褥瘡)、糖尿病患者などの血行障害から起きるケースもあります。また感染症や悪性腫瘍から発生することもあります。

にきび(尋常性ざ瘡)

思春期から青年期に発症しやすく、思春期はアンドロゲン分泌亢進に伴って皮脂の分泌も過剰となります。これと皮膚周囲の常在菌の作用によって毛包内で面皰が形成されます。その中で細菌(アクネ桿菌 等)が増殖して炎症が起き、毛穴に一致した丘疹、膿胞(炎症が進んで膿を含むブツブツ)、嚢腫(皮下に膿が溜まった袋状のもの)、結節などがみられるようになります。発症しやすい部位は、皮脂の分泌が過剰になりやすい顔面や胸背部などです。薬剤ステロイドによるにきびはステロイドざ瘡とよびます。

いぼ(尋常性疣贅)

皮膚の小さな傷などからHPV(ヒトパピローマウイルス)が侵入し、皮膚細胞に感染することで発生する良性腫瘍です。一般的には、いぼと呼ばれるものです。大きさは5~6mm程度で、痛みなどの自覚症状が出ないことが多いです。子どもなど免疫系が未発達な場合に多発します。人にうつすリスクもあるので治療が必要です。

うおのめ(鶏眼)・たこ(胼胝)

慢性的に物理的な刺激を繰り返し受け続けることで発生する角質層の肥厚化によって引き起こされる状態で足底で発症することが多いです。サイズの合わない靴を履き続ける、姿勢の悪い状態で歩くこと、あるいは加齢によるあし指の骨変形で起こる場合があります。

おでき(毛包炎、癤、癰)

毛包の入り口部やその周辺が黄色ブドウ球菌等の細菌に感染した状態を毛包炎と言います。その状態がさらに進行し、毛包の底まで炎症が進んだ状態を癤(せつ)と言います。これを一般的には、おできと言います。さらに癤の状態が進行し、周囲の毛包にまで炎症が及んでいる状態が癰(よう)になります。糖尿病などで免疫力が下がった場合に起こりやすいです。

ひょう疽

主に手指や足指の爪郭の部分から細菌(黄色ブドウ球菌、A群β溶連菌 等)が入り込むことで感染し、爪の周囲や指先にびまん状態の皮膚症状(赤み、腫れ)と痛みがみられる状態がひょう疽です。炎症が進行すると、発症部位に膿が溜まる、腫れによって指先の関節が上手く曲げられないということもあります。単純ヘルペスでおこる場合もあります。指先のささくれや陥入爪(巻き爪)などによる皮膚外傷がきっかけとなることが多いです。なお乳幼児では、指しゃぶりによって引き起こされることもあります。

口唇ヘルペス

口唇ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス1型の感染です。ヘルペス属のウイルスは治癒後も体内に潜伏しているため、ストレス、日光暴露など免疫が低下したときに再発することがあります。抗ウイルス薬で治療可能です。

帯状疱疹

ヘルペス属ウイルスの一種水痘帯状疱疹ウイルスにより起こります。水ぼうそう(水痘)に罹患したことがある方に発症し、水痘は一度感染すると主に神経節に潜伏し続けます。その後(数十年して)、高齢、過労などによる免疫機能の低下などによってウイルスが再活性化すると、神経支配領域に沿う形で痛みや水疱が現れ、これを帯状疱疹とよびます。抗ウイルス薬で治療可能ですが、水疱が治癒しても神経痛が数ヶ月以上続く場合もあります。

蕁麻疹

何の前触れもなく、かゆみの強い境界がはっきりした蚊に刺されたようなふくれた発疹(膨疹)が蕁麻疹です。湿疹などと異なり数時間~24時間以内の間に跡形もなく消えます。
アレルギー性(食物、薬剤、植物、昆虫 等)、アレルギー以外(物理性、日光、コリン性 等)など原因が特定できる場合もありますが、ほとんどが原因不明の特発性じんましんです。6週間以上続くばあい慢性じんましんと診断され、原因は不明です。ときに内臓癌が背景になる場合もあります。

金属アレルギー

接触皮膚炎の原因のひとつです。この場合、皮膚に金属が触れることで局所的にかぶれが起きている状態です。全身型の金属アレルギーもあり、歯の治療や食品の金属に反応して起きるものです。それによって、掌蹠膿胞症、汗疱状湿疹、扁平苔癬、貨幣状湿疹、痒疹などの皮膚疾患が発症・増悪発症することもあります。パッチテストで原因の金属を特定できます。

花粉症

花粉がアレルゲン(アレルギーを引き起こす原因物質)となって引き起こされるアレルギー症状のことを言います。くしゃみ、鼻水・鼻づまりの症状とともに主に目のまわりの紅斑が特徴的です(花粉症性皮膚炎)。原因とされる花粉は、スギやヒノキだけでなく、シラカバ、ケヤキ、イネ、ブタクサ、ヨモギなどもあります。原因花粉によって、季節を限って発症します。

薬疹

内服薬や注射など全身投与で薬剤を摂取することで引き起こされる発疹(主に紅斑や丘疹が多い)のことを薬疹と言います。アレルギー性と非アレルギー性に分かれます。薬疹には、蕁麻疹型、播種状紅斑丘疹型、多形紅斑型など様々な病型があります。また、固定薬疹(ある一部分に限定して薬疹が出る:消炎鎮痛剤が多い)のほか、重症の薬疹(スティーブンス・ジョンソン症候群等)では、生命に関わることもあり、入院が必要です。アレルギー性薬疹の診断はパッチテストなど皮膚を使う検査法のほか、試験管内検査を行います。原因薬剤をまず中止することが治療の基本です。

梅毒

梅毒トレポネーマと呼ばれる細菌に感染することで発症する病気です。感染経路としては、母子感染によって先天的に発症するケースもありますが、大部分は性行為によるものです。梅毒は最近爆発的に増えています。発症の原因とされる性行為から3週間ほどの潜伏期間を経てから、感染部位でもある口や性器などに痛みを感じない硬いしこりが現れるようになります。この状態が第1期とされるもので、何の治療をしなくても数週間程度で消えます。その後、感染から3ヵ月ほど経過した後、全身に発疹(バラ疹)、扁平コンジローマ、脱毛などの皮膚症状、発熱、倦怠感なども現れます。これが第2期と呼ばれる状態です。この場合も何の治療をしなかったとしても症状は消えるようになります。それでも放置が続き、感染から3年以上が経過するとゴムのような腫瘤(ゴム腫)が皮膚、筋肉、内蔵(肝臓、腎臓 等)に発生します(第3期)。さらに何も治療をしなければ、大動脈炎や大動脈瘤、歩行麻痺や神経障害も起きるなどして、死に至ることもあります(第4期)。血清学的検査で診断は可能であり、抗生物質で完治しますので、早期発見・治療が必要です。

尖圭コンジローマ

性感染症のひとつです。性行為によりヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することで発症します。発症までの潜伏期間は、3週間~8ヵ月程度と言われています。性器や肛門周囲にカリフラワーのような形をした「いぼ」です。効果的な外用薬があります。

毛じらみ

シラミ症のひとつで、頭髪や衣類などに寄生するケースもありますが、毛じらみは陰毛、腋毛、睫毛などに寄生し、発症する皮膚疾患です。原因は主に性行為とされ、しらみが寄生してから1~2ヵ月程度経過してから発症するようになります。主な症状は、寄生部位でみられる激しいかゆみになります。治療は、陰毛を剃毛および駆虫剤を用います。

疥癬

ヒゼンダニと呼ばれる疥癬虫が表皮に寄生することで起きるそう痒の強い皮膚疾患です。感染経路としては、性行為なども含む感染者との直接接触のほか、衣服や寝具などを通して間接的に感染するというケースもあります。日本では、高齢者が入所する施設などで集団感染が起こりやすい疾患です。激烈なかゆみにより睡眠不足を訴える方もいます。検鏡で虫体、虫卵を確認したり、またダニが作る皮膚内にトンネル(疥癬トンネル)をダーモスコピーで見つけることによっても診断できます。

蜂窩織炎(ほうかしきえん)

皮下脂肪の炎症についての総称ですが、多くは皮膚の常在細菌でもある黄色ブドウ球菌等で起こります。ケガや湿疹などの掻き壊し等による傷口、足白癬からの細菌の侵入のほか、肥満の方や糖尿病の患者様も発症リスクが高いです。足背から下腿に好発します。さらに深くまで病変がすすむと壊死性筋膜炎となり、緊急手術を要する入院対象の重症疾患ともなります。全身症状としては発熱や倦怠感、関節痛がみられ、感染部位では、境界がはっきりしない発赤や腫脹のほか、熱感・痛みもあります。抗生剤で治療します。

粉瘤

皮膚の浅いところに袋(嚢腫)が出来、そこに角質や皮脂などの老廃物が溜まって腫瘤を形成しているのが粉瘤で、ありふれた疾患です。良性で、大きさは1~2cm程度、大きくなると卵大になることもあります。腫瘤の中心に毛包の開口部黒点があるのが特徴です。なお粉瘤が細菌感染による炎症を起こすと患部に発赤疼痛、腫れの症状が出ます(感染粉瘤)。切開して排膿することもありますが根治的には手術で袋ごと切除します。

稗粒種(はいりゅうしゅ)

稗粒種とは、表皮の部分に発生する1~2㎜程度の白っぽいブツブツ(丘疹)のことです。体のどの部分でも発症する可能性はありますが、目の周囲、頬、鼻先などでよくみられます。アトピー性皮膚炎患者さんの目のまわりに頻発します。自覚症状はなく、悪性化することもありませんが、小さく切り取る治療を行います。

肝斑

シミのひとつです。肝斑は、両頬、額、鼻、下あご等の顔面部に境界がはっきりした左右対称の褐色の色素斑がみられるのが特徴です。30~40代の女性に発症しやすいと言われています。原因については、現時点では特定していません。ただ、紫外線に肌がさらされ続ける、あるいは女性ホルモンの影響といったことがメラノサイトの活性化を引き起こすことが原因といわれています。

脂漏性角化症(老人性色素斑)

表皮に発生する良性腫瘍のひとつです。老人性色素斑(日焼けで作られたシミ)が前駆症状のことが多く、加齢とともにに「いぼ」状に盛り上がり、褐色の結節となります。非常にありふれた疾患であり、まず癌化することはありませんが、希望に応じて処置や手術を行います。

日光角化症

紫外線を浴びやすい頭頚部や手背部で起きる、紫外線による早期の皮膚癌(表皮内がん)です。さらに進行し、真皮にまで癌細胞が浸潤すると有棘細胞癌となります。境界がわかりにくい1~3cm程度の淡い不整形紅斑に白いカサカサした鱗屑がついています。時に、角化増殖のため皮膚の角(つの)状態になることもあります。また脂漏性角化症などと鑑別するため、生検で診断をつけます。外用薬で治らなければ、切除が必要です。

皮膚悪性腫瘍

皮膚に発生した悪性腫瘍の種類としては、基底細胞癌、有棘細胞癌、悪性黒色腫(メラノーマ)、(内臓癌からの)転移性皮膚癌、リンフォーマなど様々なものがあります。
悪性腫瘍は、皮膚の周辺組織に染み込むように侵入していきます。さらに増殖のスピードが速く、転移することもあります。初期メラノーマは、ほくろと見極めがつかないこともあります。その他、良性疾患との区別が困難な場合も多く、生検で病理診断が必要です。切除をふくむ根治を目指す治療が必要です。

円形脱毛症

硬貨ほどの大きさの円形の脱毛斑を円形脱毛症と言います。単発から数個程度であれば、自然と治癒することも多いですが、多発性のものや、後頭部や側頭部に限定して脱毛するタイプ(蛇行性脱毛症)は難治です。脱毛班の周囲の毛を引っ張ると容易に抜けてしまう状況であれば進行している証拠です。円形脱毛症には、頭髪の毛が全部抜けるタイプ(全頭脱毛症)、頭髪だけでなく全身の毛も含めて抜けるタイプ(汎発性脱毛症)もあり、いずれも難治です。多くの治療法がありますが、最近では効果的な新規内服薬が登場しました。原因は不明ですが、毛包にたいする自己免疫反応、ストレスなどが関係しているのではないかとも言われています。爪の変形がみられることがあります。また、脱毛症を伴う他の疾患(膠原病など)もあり、鑑別が必要です。

白斑

後天性の色素脱失症で、境界がはっきりしています。分節型(神経支配領域に一致して体の片側に起こる)と、非分節型(神経支配領域とは関係な身体の左右に発症する)に分類できます。原因不明ですが、キラーT細胞による表皮メラノサイトの障害で起こり、進行すれば白毛を伴い広範囲に広がることもあります。ステロイドの外用や紫外線治療が主で非常に難治な皮膚疾患ですが、近い将来には画期的な治療法が使える予定です。

酒さ

慢性の炎症性疾患で、中高年世代に発症しやすいと言われています。主に顔面(なかでも、眉間、頬の部分、鼻あたり)が赤くなり、にきびのような毛包性の炎症を伴います。これは、炎症にともなって毛細血管が拡張している状態です。発症の原因は不明です。なお酒さと言いましてもアルコールが原因というわけではありません。少なからずステロイド外用の不適切使用により起こります(ステロイド酒さ)。

多汗症

汗を分泌する器官であるエクリン汗腺から異常な大量発汗がみられている状態を多汗症と言います。この場合、全身で異常な発汗がみられる場合と体の一部分(腋、手のひら、足裏 等)に限局して発症するケース(局所性)があります。また原発性(原因が特定できない)と続発性(他の病気が原因で引き起こされる)にも分けられます。全身性で続発性の多汗症であれば、甲状腺機能亢進症、糖尿病、肥満、薬剤などが原因として挙げられます。局所性で続発性の多汗症であれば、エクリン腺疾患、末梢神経障害などが挙げられます。原因疾患がはっきりしているのであれば、それに対する治療を行っていきます。原発性の多汗症は、緊張や運動によって局所的に大量の発汗がみられている状態です。具体的には、手掌多汗症、頭皮・顔面多汗症、腋窩多汗症などがあります。最近、自律神経に作用する外用薬が登場しました。

巻き爪

足の爪(主に親指)の左右両端の先端部が内側に巻かれている状態を巻き爪と言います。この巻き爪が皮膚(爪溝)に食い込んでいる状態を陥入爪と言います。陥入爪になると皮膚が傷つき二次感染の炎症や肉芽(反応して盛り上がる)がみられ、痛みが伴います。なお発症の原因については外反母趾、サイズの合わない靴を履き続ける、激しいスポーツによる負荷などが挙げられます。爪白癬による爪変形が背景にあれば、白癬の治療は必須です。繰り返す難治例は手術を行います。

瘢痕ケロイド

ケガや手術等による傷が治っていく過程において、膠原線維が過剰に産生されそれによって傷が盛り上がり硬い赤いミミズ腫れのように目立ってしまう病態をいいます。発症しやすい部位は、胸部正中部、腹部正中部、肩、鎖骨部など下にすぐ骨があるところです。家族性(ケロイド体質)もありえます。ステロイド局所注射はもっとも確実な治療法です。

あせも(汗疹)

体の体温調節や加湿などの働きをする汗ですが、これが体外へと上手く排出されず汗腺(エクリン汗腺)で詰まってしまうことがあります。それによって起きる皮膚症状のことを一般的にはあせも(汗疹)と言います。とくに汗を掻きやすいとされる乳幼児によくみられやすい皮膚疾患でもあります。熱性疾患の後にできることもあります。「あせだまり」が小水疱として皮膚に炎症を起こす場合は小さな赤いブツブツ(丘疹)がみられ、強いかゆみも現れます。

茶あざ・青あざ・赤あざ・ほくろ

周囲の皮膚の色や状態と異なっている場合のことを一般に「あざ」と言います。あざは色によって、茶あざ、青あざ、赤あざ、母斑細胞(ほくろ)が関係しているほくろ(黒あざ)があります。いずれも痛みなどの自覚症状はありません。あざの多くは先天的、あるいは生後間もなく起きるとされる色素異常が大半とされています。赤あざは、血管の異常によるもので、これが拡張または増殖するなどして発生します(血管腫)。主に単純性血管腫、いちご状血管腫などが含まれます。乳児の血管腫には非常に効果的な内服治療があります。茶あざと青あざは、メラニン色素の影響によるものです。茶あざには、カフェオレ斑、扁平母斑、ベッカー母斑などがあります。青あざは、皮膚真皮にメラノサイトが存在することで皮膚が青く見える状態です。太田母斑、蒙古斑、異所性蒙古斑などが挙げられます。レーザー治療などが行われています。

水ぼうそう(水痘)

乳幼児や学童期の小児が罹患しやすい感染症で、水痘帯状疱疹ウイルスに感染することで発症します。同ウイルスは感染力が強く、感染経路としては、飛沫感染、空気感染、接触感染があります。約2週間の潜伏期間を経た後、かゆみもみられる発疹(赤いブツブツ)が現れます。その際に発熱の症状も出ます(発熱は3日程度)。この発疹は顔面や体幹だけでなく、全身へと広がっていきます。さらに発疹は1日程度で水ぶくれ(水疱)に変わり、さらに2~3日経過するとかさぶた(痂疲)になります。なお、かさぶた化するまでは、学校などへ行くことはできません。発疹から1週間程度を要します。原因ウイルスである水痘帯状疱疹ウイルスは、神経節に潜伏し数十年後加齢や過労に伴って免疫力が低下すると同ウイルスが再活性化し、帯状疱疹となります。まれに見られる成人水痘は重症になりやすく、抗癌剤など極度に免疫が低下した場合に起こり、幼児とちがい入院対象となります。

手足口病

乳幼児によくみられる皮膚疾患で、夏の季節に発症しやすいと言われています。発症の原因ですが、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスに感染することで起きます。感染経路は飛沫感染や経口感染が挙げられ、3~5日程度の潜伏期間を経て発症します。主な症状は、手のひらや足の裏、口の中あるいはお尻などに数㎜程度の小さな水疱が発生します。また人によっては軽度な発熱も出ます。手や足では痛み、かゆみは現れにくいとされていますが、口内の水疱は潰瘍状態になりやすく、この場合は痛みを訴えるようになります。年によっては成人にも流行し、爪変形を残すことがあります。

水いぼ(伝染性軟属腫)

伝染性軟属腫ウイルスに感染することで発症するのが水いぼです。感染経路としては、水いぼに触ることでうつる直接感染があります。小児に発症しやすく、夏の時期に流行しやすいという特徴があります。そのため、プールでうつることもよくあります。その際は、ビート板や浮き輪、タオル等を介して感染します。水いぼは直径約1~3㎜程度の光沢感のある丸い形をしています。痛みやかゆみなどの自覚症状はみられません。発症しやすい部位は、手足、腹部、背中などです。感染拡大もあるためピンセットでつまみ取る治療が必要な場合もあります。

とびひ

とびひの正式な皮膚疾患名は、伝染性膿痂疹です。表皮が細菌に感染することで、水疱やかさぶたなどの症状が現れるようになります。とびひは、夏に発症しやすく、虫刺され、湿疹、アトピー性皮膚炎などによる掻破痕から黄色ブドウ球菌が感染して起こります。強いかゆみのある透明な水疱が発生し、爪で掻いた場所に次々と菌が広がっていきます。抗生剤の内服治療が必須です。